予防接種とは

 お母さんから赤ちゃんにプレゼントした病気に対する抵抗力(免疫)は、百日せきや水痘(みずぼうそう)では生後3月までに、麻しん(はしか)やおたふくかぜでは生後8月ころまでに、自然に失われていきます。この時期を過ぎると、赤ちゃん自身で免疫をつくって感染症を予防する必要がでてきます。これに役立つのが予防接種です。
 また、適齢期以前の女子に予防接種をすることで風しん、水痘などによる先天異常の発生を予防し、キャリアの母親から生まれた児に予防接種をすることで、B型肝炎のキャリア化を防ぐなど母子感染予防のためにもワクチンは真価を発揮しています。
  はしかや百日せきのような伝染病の原因となるウイルス、細菌または菌の産生する毒素の力を弱めてワクチンをつくり、それを体に接種して、その病気に対する免疫をつくることを、予防接種といいます。
 感染症にかかりやすい年齢は、百日せき・麻しん0〜2歳、水痘1〜4歳、風しん・おたふくかぜ3〜4歳、インフルエンザ5〜14歳、日本脳炎5歳以下と40歳以上などとなっています。予防接種はかかりやすい年齢になる前に完了していることが必要です。
 
保育園や幼稚園に入るまでには予防接種で免疫をつけ、伝染病にかからないように予防しましょう。    

予防接種の種類
予防接種には「定期接種」と「任意接種」があります。
「定期接種」は国が責任を持って勧めている予防接種で、はしかやポリオなど8種類の病気に対するもので、いづれも発病すると重症になったり、後遺症を残したりする病気の予防接種です。大阪市民はすべて
無料です。
「任意接種」は水痘(水ほうそう)やインフルエンザなどの予防接種で、病気の流行状況などにより「受けた方がよい」というものです。
有料となります。

  定期予防接種

 ・DPT(ジフテリア・百日せき・破傷風)
 ・DT(ジフテリア・破傷風)
 ・MR(麻しん・風しん)
 ・麻しん(はしか)
 ・風しん(三日ばしか)  
 ・日本脳炎
 ・ポリオ

 ・結核 

  任意予防接種

 ・流行性耳下せん炎(おたふくかぜ)
 ・水痘(みずぼうそう)
 ・
A型・B型肝炎
 ・インフルエンザ
 ・肺炎球菌
 ・定期接種で対象年齢の枠外に行うもの。

大阪検疫所で扱っている予防接種(海外渡航時) 

 ・麻しん
 ・ポリオ
 ・黄熱病
 ・
A型肝炎
 ・コレラ
 ・日本脳炎
 ・狂犬病
 ・破傷風
 ・ジフテリア 

ワクチン類・治療薬・診断薬
 ワクチンは、その抗原の種類により生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドに大別されます。また、発病の予防と治療のためには抗毒素があり、ワクチン接種前の診断に使われる診断薬もあります。
ワクチン類 生ワクチン ウイルス 麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、黄熱
細菌 BCG
不活化ワクチン ウイルス 日本脳炎、インフルエンザ、狂犬病、B型肝炎、A型肝炎
細菌 DPT、コレラ、肺炎球菌
レプトスピラ ワイル病秋やみ
トキソイド 毒素 ジフテリア、破傷風、DT、はぶ
治療薬 抗毒素 ジフテリア、破傷風、ガスえそ、ボツリヌス、まむし、はぶ
診断薬 ウイルス 水痘抗原
細菌 ツベルクリン
予防接種の接種時期
感染症ごとに罹患しやすい年齢及び流行期間があります。
それまでにワクチンの接種を健康な時期を選んで完了しておくことが大切です。
定期予防接種
取扱医療機関でうける個別接種
接   種
対象年齢 標準的な接種年齢 方法(皮下注射)

DPT

ジフテリア
百日せき
破傷風

1期 初回 1回 3か月〜7歳6か月 3か月〜1歳 3〜8週間隔で3回接種する。
2回
3回
追加 11か月〜7歳6か月
(一期初回接種(3回)終了後、6ヶ月以上の間隔をおく)
1期初回(3回)終了後1年〜1年6か月後 1回接種する。
2期(DT)
ジフテリア
・破傷風
11・12歳 小学6年生 1回接種する。
MR

麻しん
風しん
1 期 12か月〜24か月(注1) 12か月〜24か月 1回接種する。
2 期 5歳〜7歳未満 (注1)
小学校就学前の1年間にあるかた
幼稚園の年長児 1回接種する。
麻しん 1歳〜7歳6か月
1歳〜2歳未満 1回接種する。
風しん 1歳〜7歳6か月 1歳〜3歳未満 1回接種する。
(注2)
日本脳炎
1期 初回 1回 6か月〜7歳6か月 3歳 1〜4週間隔で2回接種する。(注3)
2回
追  加 1歳6か月〜7歳6か月
(1期初回接種(2回)終了後概ね1年おく)
4歳 1回接種する。(注3)
2  期 9〜13歳未満 小学4年生 1回接種する。(注3)
(注1)
(1) 麻しんまたは風しん単抗原ワクチンのどちらか一方でも接種したことがある方
(2) これまでに麻しんまたは風しんのどちらか一方でもかかったことがある方
についても、国の制度が改正され、平成18年6月2日より、第2期の接種年齢にあたるかたで(1)に該当するかたは麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)(※)の、(2)に該当するかたはかかっていない方の単抗原ワクチンの予防接種を受けられることになりました。  ※特に保護者からの希望があれば、MRワクチンのかわりに単抗原ワクチンの接種も可能です。

(注2)
幼j児について行う風疹の予防接種は、麻疹の接種のあとに行う。


(注3)
大阪市では、厚生労働省の勧告(平成17年5月30日付け)を受けて、現在日本脳炎の予防接種を原則として差し控えています。
 ただし、日本脳炎の流行地域(東アジア・東南アジア・南アジア)へ長期間渡航する方、蚊に刺されやすい環境にある方など、日本脳炎に感染するおそれが高く、本人又は保護者が特に希望する場合には、今回の措置と日本脳炎ワクチンの効果および副反応について医師から説明を受け、同意書に署名した上で、現行の日本脳炎ワクチンの接種を受けることは差し支えありません。
定期予防接種
港保健センターでうける集団接種
対象年齢 標準的な接種年齢 接種方法
BCG(1回) 生後6ヵ月未満の乳児に対し、ツ反検査を省略したBCGの直接接種。
ハンコ注射
任意予防接種 対象年齢
インフルエンザ(注1) 全年齢
特に、保育所、幼稚園、小学校、中学校の児童生徒、高齢者
おたふくかぜ 1歳以上の未罹患者
水 痘 1歳以上の未罹患者
B型肝炎 (1)母子垂直感染防止(注2) HBs抗原陽性の妊婦より生まれた新生児
(2)ハイリスク者 医療従事者、腎透析を受けている者など
A型肝炎 16歳以上。2〜4週間隔で2回。6〜12ヵ月後に追加接種。
コレラ 通常1歳以上。皮下注射で2回。1回目の後5〜7日後に2回目を接種。
黄 熱 生後9ヶ月以上。渡航国により黄熱予防接種証明書を要求される。
出発の1ヶ月以上前に受けて下さい。
狂犬病 外国の狂犬病常在地への旅行及び滞在者、狂犬病ウイルスと接触する機会の多い者。4週間隔で2回、6〜12ヵ月後に追加接種
肺炎球菌感染症 主として65歳以上の高齢者、
2歳以上の慢性疾患者・脾臓摘出者(予定者)
(注1)65歳以上の市民及び、60歳以上65歳未満の方のうち心臓等の機能に身障1級相当の障害をお持ちの市民には補助金がおりるため、1,000円の負担金でうけることが出来ます。ただし、対象者のうち、生活保護受給者及び、市民税非課税世帯の方は、接種時に医療機関窓口で証明書等を提示すれば、料金は免除されます。接種時期は10月下旬〜2月末日です。
(注2)B型肝炎母子感染防止事業による。
※定期の予防接種で接種対象の年齢を越えている人は任意の予防接種になります。
緊急接種
麻しん水痘は感染者と接触してから72時間以内にワクチンを接種すれば大部分で発症予防が可能と考えられています。
予防接種の接種間隔
 あらかじめ混合されていない2種類以上のワクチンを接種する場合には、不活化ワクチン・トキソイド接種の場合は、1週間以上をあけます。また、生ワクチン接種の場合は、ウイルスの干渉を防止するため4週間以上間隔をあけて次のワクチンを接種します。ただし、医師が必要と認めた場合には、、あらかじめ混合されていない2種以上のワクチンでも同時に接種を行うことができます。

予防接種の接種間隔

予防接種を受けることができない人
  1. 明らかな発熱を呈している者
  2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
  3. 当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によって、アナフィラキシーを呈したことが明らかな者
  4. 急性灰白髄炎(ポリオ)、麻しん及び風しんに係る予防接種の対象者にあっては、妊娠していることが明らかな者
  5. その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
予防接種を受けるに際し、医師とよく相談しなくてはならない人
  1. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患及び発育障害等の基礎疾患を有することが明らかな者
  2. 前回の予防接種で2日以内に発熱のみられた者、又は全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
  3. 過去にけいれんの既往のある者
  4. 過去に免疫不全の診断がなされている者
  5. 接種しようとする接種液の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者
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